約 1,683,797 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1227.html
第四話「バトルロンド」 午後3時30分ごろ 「久しぶりだな、ここも…」 二人は神姫センターの前に居た。 神姫センターとは、武装神姫専門の大型店舗の名称である。 武装神姫の戦場「バトルロンド」の筐体の他、神姫専門ショップやメンテナンスショップなどMMSの事なら ここにお任せな店である。 形人は数ヶ月前にここを訪れ、今のヒカルであるエウクランテを購入している。 「あれっきりここには来ないで、プラモ屋に行ってるからね」 「僕にあっさり染まって、「バルキリー買って!」「フェニックスミサイル買って!」と言ってたのは誰だ?」 「う…、私…」 二人がバトルロンドコーナーに行くと、既に聖憐がそこに居た。 「あら、遅いわよ」 「こっちだって事情があるからね、途中でヒカルが「コンビニ寄って」とか言ってコンビニ行ったりとか」 「形人だってノッて肉まん買ってたじゃん!」 かく言うヒカルの隣には、食玩のレイズナーが肩を並べていた バトルのルールはこうだった 『ヘッドオンで対峙し先に相手本体にダメージを与えたほうが勝ち』 もろに影響を受けている。 「ラリー、今回の装備は「ZERO」装備よ。戦闘方法は任せるわ」 「………10-4(了解)」 暗い、オマケに初台詞が無線用語である。 「形人、スパロー4発、サイドワインダー2発、機関砲はアデンタイプで」 「他の人わかるのか?それ」 「それより、敵の情報は?」 「データを見たがよくわからん、MPBMと載っていた」 「はーん…」 もはや知ってる人にしかわからない事を言い合いながら、バトルはスタートした。 静寂を突き破る翼の風切り音 現実に換算すると音速で飛行する飛翔体。 鳥のような翼にミサイルと機関砲を搭載したセイレーンが空を行く 「司令部(ヘッド・コーダー)!敵はどこから来る!?」 「司令部よりセラ(TACネーム)へ、2時の方向、間もなくスパローの射程内」 「了解、レンジ・オン」 ヒカルが装備しているバイザーに中距離用のレーダー・レンジが映る、だが… 「ちょっと待った形人!敵がよっつ映ってるよ!」 「知るかそんな事!人間換算1キロまで近づかんと観戦画面に映らんルールになってるからな」 「考えられるとしたらプチマスィーンズか…、ま、いいや」 レーダーが四つの機影をロックする 「ファイヤ!」 ヒカルの予想通り、レーダーに捕らえられたのは、Kemotech社製サポートマシン 「プチマスィーンズ」であった。 スパローは寸分狂わずマスィーンズを撃墜したが、当然ラリーの作戦であった。 数秒経たない内に今度はヒカルが射程内に入っていた。 「発射」 『ミサイル接近』 バイザーにそう映った直後、ヒカルは推力を全開にし急旋回を行った ミサイルは見当違いの方向に飛んでゆく、しかし…。 「うわっ!」 ミサイルは大爆発を起こし、ヒカルは衝撃に煽られた。 「やっぱり散弾ミサイル!」 MPBM(散弾ミサイル)とはエースコンバットゼロに登場する架空の軍用機「モルガン」に搭載されている 広範囲用の対空・対地ミサイルのことである。 「やっぱり「片羽の妖精」の名を持つだけあるわね!」 体勢を立て直し、急上昇を開始する 目と鼻の先でヒカルが上昇した。 ラリーは考えた、『こちらの欠陥に気付いてるのでは』と。 実はラリーが装備する天使型基本部品「リアウイングAAU7」は改造の結果強度が低くなっていた。 エリアオーバーギリギリの高度まで上昇すると、最悪空中分解を起こしてしまう欠陥を抱えてしまったのだ。 元々運用能力を持たない種類のミサイルを使用出来る様にしたのだから、当然と言える。 「降りて来い!臆病者!」 「言われなくても…!」 そう呟くと、ヒカルは踵を返し急降下を始めた。 来たか。 ラリーは体を上にして降下を始めた。 静止した状態では、急降下してくる敵を捕らえるのは一瞬である。 相対速度を合わせるこちらの命中率を上昇させる。 無論、相手の攻撃が命中する確立も上昇するが。 レーダーが飛行物体を捕らえる。 「終わりだ」 手にしたのは「LC3レーザーライフル」、しかも広域攻撃用に威力を犠牲に照射範囲を広げたものである。 相手にダメージを与えれば勝敗が決定するこのバトルでは、例え威力が低くても関係ないのだ。 引金(トリガー)を引いた直後、物体に命中した事が目に映る。 しかし、戦闘は終了しなかった 「何!?」 その直後、一閃のレーザー光がラリーを貫いた。 『BINGO!』 命中したとゆう情報が、バイザーによってヒカルに伝えられた。 「やった!」 ラリーの誤算、それは熱くなるばかり、エウクランテが『プレステイル』に分離できる事を忘れていた事だった。 ――戦闘終了後 「納得できない、なぜ分離状態で攻撃できたんだ」 さっきの無口が何処へやら、ラリーは不満を主にぶつけていた。 プレステイルの欠点は、武装形態の部品のほぼ全てを使用する故、分離中は攻撃が不可能になる事だ。 無論、機関砲もポッドとゆう形で翼に下げてあった。 「理由は、あれよ」 そう言って、聖憐は形人が手に持っていた食玩のレイズナーを指差した。 「は…?、…まさか!?」 「そう、レーザードライフル」 食玩を買った理由、それは付属する武器が目当てだったからである。 「ホントはスコープドックのヘビィマシンガンが目当てだったけど…、今回は結果オーライかな」 「箱の振り具合からして、頭が丸いとは判ってたんだけどな(笑)」 午後6時14分 形人の自宅 「疲れた~…」 「あの後二回も続けてバトルしたからな、当然だ」 実は単純だったラリーの負けず嫌いの性格が災いし、あの後同じ条件で二度バトルを行ったのだ。 結果は、一回目が翼の空中分解でヒカルの不戦勝、三回目が散弾ミサイルで自爆してヒカルの勝ち。 結局ラリーは一度も勝てなかったのである。 「もう寝る」 そう言ってヒカルはくまのキーホルダーを抱き、クレイドルに寝た。 「おやすみ、形人…」 そう言って、ヒカルはスリープモードに入った。 「おやすみ、ヒカル。よい夢を」 形人は部屋の明かりを消し、部屋を後にした。 『戦士は夢をかいまみる… 空のかなた… みはてぬ夢の青い蜃気楼…』 エリア88「青い蜃気楼」より引用 終 次回予告 あら、こんにちわ。 形人くんは何か作ってるようね? あら時間がないわね。 次回「プラモ」それではまた今度(N:聖憐) 武装神姫でいこう!?に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/bbh3/pages/817.html
2014西武選手アビリティ Vol.1 選手名 ノーマル ノーマル(追加) レア 岸 孝之 勝負運 尻上がり 球速安定 西口 文也 ナイトゲーム スタミナ配分 スピン 増田 達至 球速安定 スピン 投手守備範囲 大石 達也 荒れ球 投手守備範囲 デーゲーム 菊池 雄星 スタミナ配分 危険失投率ダウン 尻上がり 豊田 拓矢 球速安定 荒れ球 剛球 野上 亮磨 尻上がり 勝負運 スタミナ配分 十亀 剣 剛球 スタミナ配分 危険失投率ダウン 岡本 篤志 勝負運 荒れ球 デーゲーム ボウデン ナイトゲーム 投手守備範囲 スピン 藤原 良平 投手守備範囲 ナイトゲーム 変則軌道 岡本 洋介 スピン 投手守備範囲 スタミナ配分 牧田 和久 スタミナ配分 尻上がり 勝負運 中郷 大樹 球速安定 投手守備範囲 スタミナ配分 レイノルズ 尻上がり デーゲーム スタミナ配分 高橋 朋己 スタミナ配分 球速安定 荒れ球 ウィリアムス 荒れ球 危険失投率ダウン 剛球 松下 建太 危険失投ダウン 投手守備範囲 ナイトゲーム 佐藤 勇 荒れ球 球速安定 スピン 森 友哉 チャンスメーカー パワーヒッター 捕手守備範囲 炭谷 銀仁朗 捕手守備範囲 粘り打ち 選球眼 金子 侑司 流し打ち 粘り打ち 遊撃守備範囲 鬼崎 裕司 粘り打ち 流し打ち 固め打ち 山崎 浩司 初球 代打 デーゲーム ランサム 逆境 三塁守備範囲 流し打ち 脇谷 亮太 固め打ち 三塁守備範囲 サヨナラ 渡辺 直人 代打 遊撃守備範囲 選球眼 浅村 栄斗 二塁守備範囲 連発 広角打法 永江 恭平 遊撃守備範囲 チャンスメーカー 代打 中村 剛也 満塁 選球眼 威圧感 森本 稀哲 チャンスメーカー 初球 代打 栗山 巧 チャンスメーカー 左翼守備範囲 アベレージヒッター 大崎 雄太郎 代打 満塁 サヨナラ 坂田 遼 逆境 パワーヒッター 固め打ち 木村 文紀 一塁守備範囲 広角打法 ラインドライブ 石川 貢 右翼守備範囲 流し打ち 粘り打ち 秋山 翔吾 流し打ち チャンスメーカー 初球 熊代 聖人 粘り打ち 初球 チャンスメーカー 田代 将太郎 サヨナラ 粘り打ち 流し打ち 斉藤 彰吾 初球 サヨナラ 右翼守備範囲 メヒア 一塁守備範囲 アーティスト アベレージヒッター 岩尾 利弘 投手守備範囲 勝負運 スピン 武隈 祥太 投手守備範囲 デーゲーム 危険失投率ダウン 林崎 遼 初球 逆境 二塁守備範囲 宮田 和希 投手守備範囲 スピン 危険失投率ダウン 岡田 雅利 捕手守備範囲 粘り打ち デーゲーム 山川 穂高 逆境 パワーヒッター 三塁手守備範囲 梅田 尚通 右翼守備範囲 逆境 代打 未記入アビリティを書き込んで下さい。 危険失投率ダウン -- 武隈 祥太 (2014-11-04 01 31 19) デーゲーム -- 岡田 雅利 (2014-11-19 11 29 45) 三塁手守備範囲 -- 山川 穂高 (2014-11-19 11 30 29) スタミナ配分 -- 西口 -- 名無しさん (2014-12-30 09 17 14) デーゲーム -- レイノルズ (2014-12-31 01 49 59) レアアビリティ 代打 -- 梅田尚通 (2015-01-15 23 07 25) 梅田 逆境確認 -- 名無しさん (2015-02-25 17 50 52) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/syobon96/pages/209.html
※複数のカテゴリに渡って効果があるものも存在するため、他カテゴリの記述も残してあります <調合系アビリティ> ・『基本調合』:調合の基本、最初は簡単なものしか出来ないが様々な調合術へと成長する ・『簡易調合(薬)』:手持ち若しくは周囲のアイテムから簡単な薬品を作成する ・『薬品調合』:手持ち若しくは周囲のアイテムから複雑な薬品までをも調合・作成する ・『薬品調合(錬金)』:調合を極めし者がもつアビリティ。身近なものから薬物のレアアイテムすら生み出すことが可能 ・『魔法調合』:手持ち若しくは周囲のアイテムからマジックアイテムまでをも調合・作成する ・『魔法調合(錬金)』:調合を極めし者がもつアビリティ。身近なものから魔法のレアアイテムすら生み出すことが可能 <作成系アビリティ> ・『簡易拠点』:野外での依頼で1度だけ使用可能。簡易な拠点を作成し体力を回復させる。使用後、拠点は消滅 ・『ボマー(弱)』:タル爆弾等の火薬系アイテムの威力を1.5倍にし、爆弾の作成を行うことができる ・『ボマー』:タル爆弾等の火薬系アイテムの威力を倍加させ、爆弾の作成・爆弾の解体までをこなすことができる ・『工作員』:対物へのダメージが1.2倍になり、設置系アイテムをターン消費なしで設置することができる
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2678.html
キズナのキセキ ACT0-8「理想の体現者」 ◆ 二階フロアへとつながる店内階段から上がってくる、細い人影。 花村は、片手をあげてほほえむ彼女の姿を認め、相好を崩した。 「こんにちは」 「おや……久住ちゃん、ひさしぶりだね」 「ええ、今回はちょっと長引いちゃって」 「遠征先は埼玉だっけ……どうだったの、遠征先は?」 「……イマイチでしたね」 微笑みながらも、辛辣な評価。 久住菜々子がここ「ポーラスター」に顔を出すのも三週間ぶりくらいか。 その間、彼女はまた武者修行と称して、他のゲームセンターを回っていた。 いまや彼女の二つ名も、『アイスドール』より『異邦人(エトランゼ)』の方が通りが良くなっている。 「最近は面白いバトルをする神姫がめっきり少なくなりました。噂の強い武装神姫を求めて大宮あたりまで行ったけれど……結局、勝つことだけを意識した連中ばっかり」 「それは仕方がないかもしれない。全国大会も盛り上がっていたからね。大会仕様のレギュレーションに合わせて、勝ち抜くことを考えると、どうしても似通ってしまうものだよ」 「それはそうですけど……」 菜々子は少し頬を膨らませた。いたくご不満な様子だ。 魅せる戦いか、勝ちを優先する戦いか。 彼女の疑問は、答えのでない問いである。 それこそ、前世紀の終わり頃、ビデオゲームで対戦格闘ゲームがブームになった頃から、幾多のゲームを経て問われ続け、未だに明確な答えは出ていない。 それは菜々子が、神姫マスター人生のすべてを通じても、答えが出ないかも知れない。 実際、ゲームのキャリアが菜々子の人生よりも長い祖母に、この疑問を投じたことがあったが、鼻で笑われた。そして、久住頼子の答えは、 「そんなの、楽しんだ方の勝ちなのよ」 それは答えになってないと菜々子は思うが、今考えると、頼子はすでに達観しているのではないか。 答えになっていない祖母の答えを思い出し、菜々子はそっとため息を付く。 「そういえばさ」 近くにいた『七星』のメンバーが、不意にこんなことを言った。 「最近、珍しい戦い方をする神姫がいるって、噂になってるけど、知ってる?」 「珍しい戦い方?」 「なんでも、インラインスケートみたいな脚部装備だけで戦うオリジナルタイプだって。俺も見たことはないけど、動きがすごいって噂だよ」 「動き、ねぇ……?」 聞いたことがない噂だった。 脚部パーツだけの装備というのが本当なら、ライトアーマークラスの装備より軽装だ。 それでフル装備の神姫よりもすごい動きができるというのは、ちょっと信じがたい。 「まあ、地上戦しかできないのは間違いないけど、『ハイスピード・バニー』って二つ名からして、かなり高速に動き回る神姫なんじゃないか?」 「ふうん……それで、どこにいる神姫なの?」 「T駅前の「ノーザンクロス」ってゲーセンだったかな」 「……すぐ近くじゃない!」 「ポーラスター」のあるF駅からは、電車で二駅しか離れていない。 すぐ近くで活動している神姫なのに、どうして『七星』の誰も噂を確認しに行こうとしないのか。その保守的な姿勢こそ、菜々子は批判しているのだ。 「あそこ、『三強』とかいう連中が幅利かせてて、雰囲気があんまり良くないんだよな」 「……だったら、わたしが行ってみる。『ハイスピード・バニー』がつまらない相手だったら、その『三強』ともどもぶっとばしてやるわ」 菜々子は不敵に笑う。 見たことのない相手に対する不安を闘志に変える術を、菜々子は放浪した二年ほどで身につけていた。 しかし、菜々子は同時にうんざりもしていた。 「全国大会常連」とか「エリア最強」とかいう肩書きの武装神姫とのバトルを求めて遠征し、実際何度も戦ったが、菜々子が記憶にとどめるようなバトルをしたのは二割に満たない。大会で勝とうとする神姫は、どうしても似通ってしまう。 菜々子が求める「魅せる戦い」は、「勝利を求める戦い」と対局にあることを、嫌と言うほど思い知らされていた。 そして、その二つを両立させようとする矛盾。「魅せる戦い」を求めながら、勝ち続けなければならないことの難しさ。 「魅せる戦い」は自分で戦い方を制限しているとも言える。単純に強い方法を使わず、あくまで自分の決めたポリシーからはずれた戦いはしない、ということなのだから。 菜々子の神姫、イーダ型のミスティは、魅せる戦いを旨としているが、勝利を優先する戦いもできる。 だからこそ、遠征先の強敵を相手にしても遅れは取らず、高い勝率を維持し続けられる。 しかし、「勝ちにいく戦い」は菜々子とミスティの本意ではない。 そこに生じる矛盾を、菜々子は嫌と言うほど感じていた。 だからこそ、面白い、珍しい戦いをする武装神姫とのバトルを求める。 そんな噂をたどっていった方が充実したバトルができる、というのも、遠征の経験から学んだことだ。 「でも、ライトアーマー程度なんでしょう? 秒殺しちゃうかもしれないわ」 「それで食い足りないなら、それこそ『三強』とやらもまとめて相手すればいいじゃない」 ミスティの不遜な言葉に、菜々子も自信満々で答えている。 花村は思う。 『エトランゼ』の実力は、もはや『七星』のメンバーを凌駕している。 桐島あおいとの再戦も近いのかもしれない。 だけど、桐島ちゃんに勝ったとして……久住ちゃん、君はどうする? 決戦の先、菜々子は何を目指すのか。大きな目的が果たされた後、強くなった彼女が何を望むのか。あるいは、大きな目的を失った彼女は、もう武装神姫をやめてしまうのではないか……。 花村は少し気がかりだった。 ◆ 翌日、菜々子はミスティを連れ、T駅で電車を降りた。 T駅はこの沿線で一番若者が多い街と言われている。近くに大学や予備校、学習塾もあるし、高校への通学バスも出ているから、自然と若者が集まるのだ。 もちろん、菜々子も何度かT駅で降りたことがある。 目指すゲームセンター「ノーザンクロス」ももちろん知っていた。 駅のバスロータリーから一本はずれた路地に入り、迷うことなく目的のゲームセンターにたどり着く。 肩に乗っているミスティと視線を合わせ、二人して頷く。そして、菜々子は敵地へと足を踏み入れた。 自動ドアをくぐれば、聞き慣れたゲームセンターの喧噪が彼女を出迎える。 一階の奥がこの店の武装神姫コーナーだった。 奥へと歩みを進める間に、バトルロンドの対戦を映す大型ディスプレイに目をやった。 「……この程度の対戦レベルの店に、面白い神姫なんているのかしら」 と口の中だけで呟く。 大きな画面上の対戦は、お世辞にもレベルが高いとは言えなかった。 その時、菜々子はふと視線を感じた。 武装神姫コーナーの奥の壁際に、二人の男が立っている。 真面目そうな青年と、ヤンキー風の大男。奇妙な取り合わせである。 その二人と視線が合う。 ちょうどいい。どうせ誰かに声をかけなければならないのだから、いっそこのまま彼らに協力してもらおう。 菜々子はその二人に向かって、まっすぐに歩を進める。 彼らの前に来て、 「こんにちは」 とびきりの営業スマイル。 これで九割がた、コミュニケーションは円滑に進む。菜々子が遠征で得た経験則である。 大男の方がこれ以上はないという嬉しそうな顔で応じた。 「こんにちは!」 「誰かお探しですか?」 菜々子は自分の営業スマイルを、斜めにすぱっと切られたような気がした。 真面目そうな青年は、表情一つ変えずに、言葉で切り込んできた。 大男の挨拶が終わるより早く切り出してきた、その妙なタイミングに、菜々子は少し驚いた顔を見せてしまう。 青年と視線が交わる。 ひどく真っ直ぐな視線だった。疑惑の色も、探る風もない。ただ真っ直ぐに菜々子を見ている。その視線で菜々子の本当の部分を見ようとしているかのようだ。だから、浮かべただけの笑顔を切られたような気がしたのだろうか。 菜々子は一瞬目を伏せる。 焦らなくてもいい。人を捜しにきたのは本当だ。用件を正直に切り出せばいい。 「ええ。……『ハイスピード・バニー』のティアっていうオリジナルの神姫をご存じですか? このゲーセンがホームグランドだって聞いたんですけど」 青年は眉根を寄せる。 この時気が付いたのだが、この青年は随分と端整な顔立ちをしていた。 「ハイスピード・バニー?」 「はい。なんでも地上戦専用の高機動タイプで、バニーガールの姿をしているとか。とても 特徴的な戦い方をすると噂に聞いています」 「……それで名前がティアなら、俺の神姫かもしれないけれど……。」 「本当ですか!?」 どうやら大当たりを引いたらしい。 この喜びは営業スマイルではなく、心からのものだった。 これが菜々子と遠野貴樹の出会いであった。 ◆ ミスティとティアの初戦は、ミスティの敗北で終わった。 試合後、菜々子は久々の満足感を覚えていた。 ティアは並の神姫ではなかった。リアルモードを出さなかったとは言え、あの軽量装備でミスティを翻弄した神姫は今までいなかった。 つまり、装備ではなく、マスターの戦略や戦術、神姫自身の技で、ミスティと同レベルの強さを持っているという事である。 そしてなにより、ティアの戦いぶりは美しかった。 菜々子とミスティは、こんな神姫と戦いたかったのだ。それがまさか、遠征先ではなく、地元にほど近いゲームセンターにいるなんて。 この神姫のマスターともっと話をしてみたい。 バトル終了後、すぐに彼に声をかけ、二人してゲームセンターを抜け出した。 こんなことは、遠征先でもしたことはない。 思えば、もうこの時には、遠野貴樹というこの神姫マスターに特別な感情を抱いていたのだろう。 駅前のドーナツ屋での時間は、あっという間に過ぎていった。 話すのはもっぱら菜々子だったが、遠野はずっと彼女の言葉に耳を傾けていた。 その会話の中、菜々子に分かったことがある。 遠野は勝敗に固執していない。納得のいくバトルであれば、負けてもかまわないとさえ考えている。 彼の対戦のモチベーションは、独特の戦闘スタイルを追求し、彼の神姫・ティアの能力を最大限引き出すことにある。 「俺は、『強い』と言われるよりも……そう、『上手い』と言われるようなプレイヤーになりたいんだろうな」 この言葉に、遠野のバトルへの姿勢がすべて現れている気がする。 菜々子は内心、驚いていた。 バトルの内容にこそ価値を見いだす姿勢。そのためには、バトルの勝敗にさえこだわらない。 かつての桐島あおいが目指し、菜々子が受け継いだ理想の、ある意味極端な形。 遠野貴樹という神姫マスターは、彼女たちの理想の一端を体現していたのだ。 「しばらくこっちのゲーセンに通うわよ」 遠野と別れた後、菜々子はミスティにそう宣言した。 菜々子は遠野に惹かれていた。そして、理想を体現するマスターの戦いぶりをもっと見てみたいとも思っていた。 ◆ しかし、理想の体現者への敬愛の念は、ある日唐突に裏切られる。 菜々子と同様に遠野と親しい大城大介が、ある日難しい顔をして、丸めた雑誌を持ったまま立ち尽くしていたのだ。 「どうしたの、大城くん。そんな顔して」 「菜々子ちゃん……」 どうにもばつの悪そうな顔をした大城。 いつも陽気な男だけに、こういうはっきりしない表情は珍しい。 菜々子が不思議そうに彼の顔を見上げていると、不意に背後から笑い声があがった。男たちの、蔑んだ調子の声。 振り返ると、そこには三強の一人が、取り巻きのメンバーと一緒に雑誌を広げている。 それが、今大城が持っている雑誌と同じものだとすぐに思い当たった。 「大城くん、その雑誌、何か書いてあるの?」 「あ、いや……菜々子ちゃんは見ない方がいいんじゃ……」 こういう時、大城は嘘が言えない性格である。 明らかに、菜々子が見て都合の悪いことが、その雑誌に書いてあるのだ。 「見せて」 「いや、でも、なぁ……」 しばらく迷っていた大城だが、うらまないでくれよ、と変な一言とともに雑誌を渡してくれた。 それは菜々子が今まで手にしたことも、手に取ろうとも思ったこともない、ゴシップ誌のたぐいだった。 ペラペラとページをめくり、雑誌のちょうど中央、袋とじになっているページで手が止まった。封は切られていた。記事のトビラに「神姫」の文字が踊っているのが異様だったことだけ覚えている。 意を決してページをめくった。 次の瞬間、頭をぶん殴られたような感覚、というのを思い知った。 「なに、これ……」 そこには、理想の体現者の神姫……ティアの痴態があった。なぶられ、犯され、悶える神姫の姿を、菜々子は初めて目にした。 そういうことがある、という事実は、知識で知っていても、目の前で画像として見せられると、ひどく生々しい。 「ティアは……風俗の神姫だったんだ……」 「ふうぞく、の……」 神姫風俗、というものがあることは、裏バトルに関わっていれば嫌でも耳に入ってくる。 バトルで残虐な方法で神姫を破壊するのにも吐き気がするが、性行為を神姫に働くことは、菜々子の理解の範疇を越えていた。 ティアは、人間の男の欲望を処理する神姫だった。 それじゃあ、遠野はいったいどうやって、ティアを手に入れたのだろう? 風俗店に通い、気に入った神姫を身請けした。それがティアだった……と考えるのが自然だろう。 ということは、遠野も神姫風俗の常連客だったのではないか? なんと汚らわしい! そこまで考えて、菜々子は遠野に「裏切られた」と思った。 理想の神姫マスターだと思っていたのに。 まさか、神姫マスターとして最低最悪の行為に手を染めていたなんて。 菜々子は、怒りと悲しみと失望と疑念が一度に押し寄せてきて、混乱し、頭がくらくらする。だから、顔に出てきたのは呆とした無表情だった。 肩の上の小さなパートナーが、なぜかわずかに眉をひそめただけで、いっそ冷静な様子が憎らしい。 菜々子は無言で、大城に雑誌を押しつけると、ふらふらとした足取りで店を出た。 その後、どこでどうしたのか、菜々子には記憶がない。 気がついたら、自宅のベッドでじたばたしていた、というわけだった。 ◆ 特別に思っていた男性の汚点を否定して見せたのは、彼女自身の相棒であるミスティだった。 ミスティは確信していた。遠野貴樹が神姫風俗に手を出すような人物ではないと。ティアと遠野の絆は本物だと。 なかば自分の神姫の言葉に引きずられ、菜々子は再び遠野を信じてみることにした。 ホビーショップ・エルゴに連れて行ったのは、菜々子が必死になって考えたアイデアだった。 いつもと違う服装で遠野を待ちかまえたのも、策と言うには幼稚だったのではないか、と菜々子は今思い出しても照れくさい。 しかし、結果はオーライだった。 真っ直ぐに向き合えば、遠野はすべてを話してくれた。 ティアを手に入れた経緯も、彼女に対する想いも。裏切られたと思っていた自分が恥ずかしくなるほどに、彼は真っ直ぐに、純粋に、ティアを愛していた。 それが分かったから、ちょっとティアに嫉妬した。 □ 「ずっと……出会ったときからずっと、あなたは理想の神姫マスターだった。その後も、本当にいろんなことがあったけれど、全部覆して見せた。自分の信念を持って、真っ正面から立ち向かった」 「それは……それが出来たのは、君や大城や……みんなのおかげだろ」 俺が言うと、菜々子さんは頭を振った。 「あなたはティアを助けて、風俗の神姫をたくさん救って、雪華やランティスみたいな実力者とも渡り合って……少しくらい、偉そうになってもいいものなのに、全然自分のスタンスを変えない。ただ、理想のバトルを目指す……その姿こそ、わたしの理想を体現したマスターだわ」 「そんなのは、買いかぶりだよ」 今度は俺が頭を振る。 本当にいろいろなことがあった。 セカンドリーグ・チャンピオンの雪華との対戦、バトロン・ダイジェストに記事が載り、周囲の見る目が変わった。 宿敵・井山との決戦。事件の終結。 チームを組み、仲間ができた。八重樫さんと安藤が持ち込んだトラブルも解決したっけ。 塔の騎士・ランティスの挑戦。 それから……菜々子さんの告白を賭けた対戦。 武装神姫を始めてから、まだ一年も経っていない。その間、息つく間もなく、怒濤のような日々が過ぎていった。 そして、俺たちはまだその激流のただ中にいる。 そのことを後悔しているわけではない。しているはずもない。 こうして菜々子さんと二人で話している今は、確実に過去の出来事からつながっているのだから。 菜々子さんを見る。 月明かりと小さな街灯の光を受けた彼女は、本当に美しい。 無性に、彼女がいつも見せてくれる、あの反則な笑顔を見たいと思った。 なぜ俺はこんな時にかけられるような、気の利いた言葉の一つも持ち合わせてはいないのだろう。 「……あした……」 「うん」 菜々子さんの微かな呟きに、俺も小さく応じる。 「明日……ついにお姉さまと戦うのよね」 「ああ」 「……勝てるかな」 「勝てる。それだけの準備をしてきた」 俺は嘘つきだ。 確かに、『狂乱の聖女』に勝つための準備は全てやった。だが、勝てるかどうかまでは、わからない。 だが、今この時、これ以外に彼女にかける言葉があるだろうか? 菜々子さんはゆっくりと俺の方を向いた。 吸い込まれそうな瞳の色。 「ほんとうに?」 「君が勝つ。それ以外は想定してない」 俺の視線は菜々子さんの瞳に吸い込まれた。 菜々子さんの引力に導かれるままに。 俺と菜々子さんの唇が重なった。 ■ 結局、わたしとミスティは、何も言葉を交わすことはできなかった。 わたしはミスティさんの想いを伝えたかったけれど、また激しい口調で拒否されるのではないかと思うと、声に出せなかった。 決戦を目前にして、ミスティの気持ちを乱したくなかった……と思っているのは、わたしの体のいい言い訳に過ぎない。 帰り道、マスターの胸ポケットの中で、考える。 無理矢理にでも伝えるべきだっただろうか。 たとえ拒否されたとしても、話してしまえばよかったのではないか。 でも、それじゃあ、本当の気持ちが伝わらないような気がした。 虎実さんは「想いは必ず伝わる」と言ってくれたけれど。 言葉がなくても、想いは伝わるだろうか。 わたしは一晩後悔しながら過ごし、いつの間にか決戦の朝を迎えていた。 もう後悔したところで遅いのだけれど。 もしわたしが、ミスティさんの言葉を伝えていれば、今日の決戦はまた違った結果になるのだろうか……。 ◆ 翌朝。 夜が明けたばかりの朝の空気は、肌にひんやりと感じられる。 街灯も消え、日が射し始めた。 花咲川公園は、その名の通り、東京湾に注ぐ花咲川の川沿いに作られた公園だ。この時期、桜並木が美しいことで有名である。 川沿いの道を迷うことなく歩を進める。 指定された場所……花咲川公園の表の入り口はもうすぐである。 朝六時ちょうどにたどり着くと、そこには小さな人影がひとつあるきりだった。 髪型はショートカット。ブラウスの上にハーフコート、細いジーパンを履いた、ボーイッシュな出で立ち。 銀色の無骨なアタッシュケースを手に提げている。 美しい顔立ちには、凛とした決意に一抹の不安を乗せている。 「……菜々子」 きれいになったわね。 桐島あおいは口の中だけでそう言った。 久住菜々子は微笑んで、あおいを迎えた。あおいもまた、微笑みで応える。 二人は無言で頷き合うと、並んで公園に足を踏み入れた。 満開の桜。 数え切れないほどの花が、今を盛りと咲き乱れ、並木道を淡い 桃色に染めている。 無数の花びらが音もなく舞い、並木道の先を霞ませる。 目指す場所は桜色に霞んだ道の先にある。 二人は並んで歩く。 その姿が霞みそうなほどの、桜の乱舞。 息を飲むほどに美しい。 その光景の中で、二人が手にしているもの……無骨なアタッシュケースだけが異彩を放っている。 桜吹雪の中、二人は静かに歩いてゆく。 「……こうして、またあなたと話せるとは思っていなかったわ」 「わたしもです、お姉さま……お話したいことが、たくさんありました」 「そう?」 「ええ」 「どんなことを?」 「たとえば……」 菜々子は少しはにかんで、そして言った。 「たとえば、そう、恋をしたこととか」 本当は、ずっとこんな話がしていたい。 いや、そんな日常を取り戻すため、菜々子はこれから戦うのだ。 二人の向かう先、桜吹雪の先にあるのは……決闘の地だった。 次へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/402.html
「俺とティアナの場合」 プロローグ 「やっぱ、買うしかないよな!」 俺、木ノ宮 翔(このみや かける)はある小売店の店頭のショーウィンドウの中のあるものの購入を決めた。 それは…武装神姫だった。 しかもつい先日発売されたばかりの、最新の第4期モデルの「ジルダリア」。 ちょっと前から神姫は欲しかったけど、どうせなら最新モデルを買ってやろうと決めていた。 そうして発売日に量販店に朝一で突撃するもライバルは多くて買えなかった。 であきらめてと、とぼとぼ家への道を歩いていると寂れた玩具屋(電気屋か?)のショーウィンドウにジルダリアのパッケージが置かれ、ポップには「予約キャンセル品につき5%OFF!」と書かれてた。 それを見て数秒で俺は購入を決めた。 即入店と共に店のおじさんに代金(バイトでせっせと貯めたものだった)を全て現金で払って手に入れた。 おじさん曰く「神姫の購入代金を全て現金で払う学生はあまりいない。」らしい。 というわけで意気揚々とウチに帰ってパッケージを開けた。 そして説明に沿ってCSSをはめ込む。種類は性格、戦闘特性、その他の順で「気さく」「オールマイティ」「自動学習」だ。 そうして"彼女"が起動する。 「はじめまして、マスター。」 「ああ、はじめまして。俺の名前は翔、カケルだ」 「カケルね。了解したわ。 さっそくなんだけど、名前をもらいたいな~」 「わかってるよ、君の名前はティアナだ」 「…ティアナ…いい名前。」 「よろしく、ティアナ。」 「ええ、カケル。」 そうして俺とティアナの生活が始まる。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/14684.html
「アビリティプッシュ!」。 ■アビリティPush!(バトルゾーンでこのクリーチャーに能力を与えた時、次の!能力を使ってもよい。) 能力が追加されるとトリガーする任意能力。 処理はバトルゾーンで能力を追加した際に行うので、《セイント・キャッスル》を要塞化した後など常在型で能力を追加する効果が発動している状態でこの能力を持ったクリーチャーを出しても、バトルゾーンへ出る前に能力追加処理を行うため、この能力はトリガーしない。 また、一度消えた能力が元に戻ってもトリガーしない。一方で、既に能力を持っているクリーチャーに同じ能力を与えた場合はトリガーする。(例えば、パワーアタッカーを元から持っているクリーチャーや既にパワーアタッカーを与えているクリーチャーにパワーアタッカーを再び追加した場合でも、能力をトリガーすることが可能) なお、追加される能力はすべて「得る」や「与える」と書かれたテキストにしか対応しない。そのため、アンタップキラーやアンブロッカブルなど「」で囲っていないものは能力追加にならないので注意。 作者:切札初那 キリューの場合は2回使えますか?(cipて「スレイヤー」と「スピードアタッカー」付与) -- Orfevre (2019-02-26 21 12 20) ↑使えます。特定のカードで能力を同時に与えた場合は1つずつ追加処理を行います -- 切札初那 (2019-02-26 22 08 31) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/club_tosho/pages/99.html
調教効果(アビリティ) 調教やレースにより取得できるアビリティの一覧です。
https://w.atwiki.jp/hirosen/pages/218.html
ページ集約→アビリティ/区分E
https://w.atwiki.jp/busou_bm2/pages/61.html
概要チャージ アビリティ レールアクション FB 1.2mm滑腔砲 SL オーフェンローア IM ヴィントシュートース ヴェッターハーン IM 武装一覧通常武装通常武装(DLC以外) 防具付属装備(DLC以外) DLC一覧通常武装(DLC) 防具付属装備(DLC) 概要 実在の兵器で例えるとバズーカよりグレネードランチャー。 着弾時に爆風を起こす弾を放物線状の弾道で発射するヘビーガン。弾と爆風のどちらを当ててもダウンする。 爆風はエフェクトが違うが爆弾と同じ球形をしており、攻撃範囲は見かけより格段に広く、着弾点から半径約50(ロックオンマーカーで5)程度ある。 攻撃判定は地形を貫通し、またエフェクトよりも若干長く判定を残す。このため、回避時には着弾点を大きく迂回するのが無難。 攻撃範囲が230(23)あるが、弾道が下がるため、弾を直接当てようとすると、ハンドガンよりも範囲が狭い。 性質上上空からの爆風の効果を生かした広範囲の攻撃、あるいは牽制・制圧が主目的となる。 相手の「移動しそうな方向」「行ってほしくない方向」へ発射すると効果的。 今回は構え中にRボタンで弾道の修正が可能になったため多少使いやすくなったが、 左右はともかく上下(奥⇔手前)は照準の移動範囲ほど広くなく、奥には460(46)、手前には80(8)付近。 傾斜や壁を使わない限り、自分を爆風で包むことはできず、構えの遅さも相まって相変わらず懐は弱い。 攻撃範囲と攻撃力の高さでハンディキャップ戦でも活躍が見込める。 しかしアビリティの付く武器がハンディキャップに不向きなダブルナイフに多く、効果的な運用は難しい。 三人以上での対戦で見られていない相手や、廃墟等狭いステージで使用すればかなりの嫌がらせになる。 チャージ 攻撃力上昇、弾速上昇、射程増大、攻撃範囲拡大。 アビリティ アビリティ+1あたり5(0.5)の爆風の範囲拡大。最大半径約65(6.5)。 レールアクション 発動地点から若干左後ろに後退。ロックオン対象に対して、扇状の3方向へのバズーカ弾の同時発射を3回繰り返す、バズーカ版ショットガンのようなもの。 爆風は通常時よりやや狭いが、3方向へ発射するので攻撃範囲は広く、発射する毎に敵の方向に向き直るので追尾力もある。 しかし、弾1つ1つの性能は通常と同じ上に、弾道修正ができない。何より最初に後退の動作が入るのと、各バズーカの反動で少しずつ後ろに後退するため、ただ出しても当たらない。 同じ高度なら密着での発動から10(1)が限界。 狙うなら虚をついた運用を心がけよう。 ヒットすると一発で相手は吹っ飛びダウンするが、吹っ飛んだ相手が着地するまでは当たり判定が残っている仕様上、飛ばされた先に未ヒットの爆風があればヒットするため、当たり方と運次第では二発以上が命中する場合もある。 スーパーアーマーの相手はそもそも吹き飛ばないため圧倒的な威力になる。可能なら狙ってみよう。 SL オーフェンローア装備時に使用すると飛んでいく弾が二倍の6発×3になる。 一発あたりの威力は半減しているが、空間支配力は大幅に増しているため、多少無計画に発動しても戦況を傾ける事ができる。 +バックアタック ヘビーガン属共通の「近接攻撃>最速ACヘビーガン・スライド裏回り」によるバックアタックが可能。 弾の射出が早い防具搭載型のバズーカのバックアタックは、 近接攻撃>最速ACバズーカ・照準移動(相手の足もと脇へ)から射出>即ACダブルナイフ等 バズーカ射出・即ACナックルさえコンボとしてつながらない。とはいえ、つなぎが早いので割り込まれることはそうないだろう。 キッチリ照準が合っていれば相手の後ろで着弾し、その爆風でバックアタックになる。 この際、逃がさないようにするための固め 照準が甘くなって爆風が届かなかったときのための押し込みとして、即ACダブルナイフを入れておく。 バックアタックをガード出来る相手にガードされた場合、連携を爆風に押し込んだ段階で止めて、爆風によるガード硬直を利用して再度同じ連携を繰り返して固めに持ち込むのもよい。 FB 1.2mm滑腔砲 リアパーツ付属武器。武装神姫フィギュアのファンなら、砲子ことフォートブラッグの背負ってる大砲と言えば、判る人も多いだろう。 パーツ付属武器はどれも以下の、通常のバズーカと大きく異なる性能を有する。 射角の自由度が極端に高く、自分の足元に撃つことすら可能。 照準を最大まで上にずらせばトレーニングステージの角から発射した弾が、反対側の角の壁に命中するほど。 また、最大チャージで着弾時のエフェクトが、爆弾のエフェクトと同一になる上に効果範囲が拡大。 着弾地点より半径約80の範囲まで判定がある。 また、その構え方の関係上、ヘビーガンAC同時撃ちには対応していない(ただし同モーションで発射される武器とであれば可能)。 構え動作が通常のバズーカより速いため、近接武器からACでコンボが成立する。 バズーカのプラスアビリティを持つダブルナイフの4段目からしっかり繋がる(4段目の飛び上がり攻撃がヒットした瞬間にACでキャンセルして射撃)。 ACRAでの〆よりも単位SPあたりのダメージ効率がいいため、装備している場合は積極的に狙っていこう。 SL オーフェンローア スカート付属武器。シスターリーゲル武装セットの腰部位防具にあたる。 FB 1.2mm滑腔砲と同じ極端に自由度の高い射角をもち、足元を撃つ事で平地であれば自分の背後まで爆風の効果範囲に巻き込むことが出来るなど、照準操作を適切に行えばハンドガン並(爆風を含めればそれ以上)の範囲をカバーする。 また同様に、その構え方の関係上ヘビーガンAC同時撃ちには対応していない(ただし同モーションで発射される武器とであれば可能)。 構え動作が通常のバズーカより速いため、近接武器からACでコンボが成立する。 この武器特有の性質としては二発動時発射型であることがあげられる。 射角の要因もあって基本的な命中率は高まるが、「ATKは同時発射数または基本最大装弾数で割る」という原則通り、1hit時の実ダメージはATK400台(ランク3付近)相当になり、二発とも命中した場合でも個別ダメージ計算およびコンボ補正により通常のバズーカに比べATK値に比してダメージが低くなる。 この影響は大きく、特に同時発射数が2倍になるという特性はRAにおいても適用されるため、ヒット率は上がるが威力は下がる。 バズーカRAでは3way×2門×3回射撃となるが単純にダメージ半減、ダブルナイフ・バズーカRAでは3way×2×2回射撃+ダブルナイフフィニッシュと強烈な光景を生み出すものの実ダメージは半減してしまう。 火力を犠牲に取り回しを良くした特殊武器と言えるだろう。 IM ヴィントシュートース ムルメルティア型武装セットのIM ヴィントシュートースを装着する事で装備可能。 FB1.2mm滑腔砲同様広い射角を持つが、特徴として発射位置が見た目通り、足元ギリギリの低い箇所になっている。 そのため、普通に撃つと少し手前に着弾し、数値スペック上の射程よりは少し短めになっている。 バズーカRAを使用すると砲身のある神姫の右下から発射される。この際何故か射程は通常のバズーカRAよりも広くなる。 ただし、平らな地面に立って同一高度にいる相手に使用すると、発射した瞬間に弾が即地面に着弾するので、自分の目の前に巨大な攻撃判定を出現させるだけのヘンテコRAに変化する。 高所で使用すると攻撃範囲が通常のバズーカRAよりも広域になる。至近距離でまとめてぶち当てるのもそれなりに狙っていけるようになる。 ヴェッターハーン IM ムルメルティア型武装セットのヴェッターハーン IMを装着する事で装備可能。 アビリティが違うだけでIM ヴィントシュートースに良く似ているが、こちらは専用RA未対応。 さらに発射箇所が右上になっており、近接攻撃からコンボに入れるのがより難しくなっている。 しかし、Lp-1のアビリティにさえ目を瞑ればこちらの方が取り回しが良く、結果的に素撃ちした時の射程ものびているので、 制圧・牽制だけに使用と割り切ればこちらの方が扱いやすい。 武装一覧 通常武装 通常武装(DLC以外) ランク 名称 ATK COST 火器 光学 クリティカル 攻撃範囲 攻撃回数 アビリティ 入手方法 装備神姫・備考 1 シュラム・RGランチャー 42 15 0% 0% 5% 230 3 近距離攻撃+1ダブルナイフ+1 オフィシャル ストラーフ 吠莱壱式 87 30 0% 5% 5% 230 3 近距離攻撃+1ダブルナイフ+1 オフィシャル ハウリン 2 シュトルムウントドラング 222 71 10% 0% 5% 230 3 近距離攻撃+1ダブルナイフ+1 オフィシャル ネプチューン・トリトン 229 72 8% 0% 5% 230 3 近距離攻撃+1ダブルナイフ+1 オフィシャル イーアネイラ 3 シュラム・RGランチャー+IR 350 84 0% 0% 20% 230 3 ロック範囲-1SP+1 スキュラ(クリア前ヴァルハラ)[奪]バズーカロッド杯[賞]スモーカー杯[賞] ピーキーストラーフ シュラム・RGランチャー+AS 350 110 0% 0% 20% 230 3 近距離攻撃+1ダブルナイフ+1バズーカ+1 ストラーフ 吠莱壱式+SK 384 92 0% 13% 5% 230 3 近距離攻撃+1ダブルナイフ+1 プレミアム ハウリン 4 ネプチューン・トリトン+MT 479 120 16% 0% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 イーアネイラ エスカトロジー 506 123 0% 18% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 シュラム・RGランチャー+SK 511 120 0% 0% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 プレミアム ストラーフ 5 吠莱壱式+GC 590 132 0% 21% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 プレミアム ハウリン シュラム・RGランチャー+LB 631 132 0% 0% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 武本哲(クリア後ヴァルハラ)[奪]小笠原紗智子(クリア後ヴァルハラ)[店] ストラーフ シュトルムウントドラング+GR 652 118 25% 0% 20% 230 3 ロック範囲-2DEX-1SP+2 ういろー(クリア後ヴァルハラ)[奪] ピーキー 6 ネプチューン・トリトン+VC 777 163 24% 0% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 イーアネイラ エスカトロジー+SP 833 176 0% 26% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 ヨルムンガンド 853 165 0% 0% 5% 700 3 ダブルナイフ+1 青山遊馬(クリア後ヴァルハラ)[奪]ダブルナイフ バズーカ杯[店] 攻撃範囲700は誤記実際は他バズーカと同等程度 7 吠莱壱式+NS 859 183 0% 29% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 プレミアム ハウリン エスカトロジー+KT 956 185 0% 30% 20% 230 3 クリティカル率+4溜め時間短縮-3スピード-1 ダブルナイフ バズーカ杯[賞] ピーキー シュラム・RGランチャー+VC 967 186 0% 0% 5% 230 3 ダブルナイフ+1 ストラーフ ヨルムンガンド+VC 1014 195 0% 0% 5% 700 3 ダブルナイフ+1 攻撃範囲700は誤記実際は他バズーカと同等程度 防具付属装備(DLC以外) ランク 名称 ATK COST 火器 光学 クリティカル 攻撃範囲 攻撃回数 アビリティ 入手方法 装備神姫・備考 1 - - - - - - - - - - - 2 - - - - - - - - - - - 3 FB 1.2mm滑腔砲 348 0(55) 0% 0% 5% 230 3 - オフィシャル フォートブラッグリアパーツ 4 FB 1.2mm滑腔砲+BK 520 0(85) 0% 0% 5% 230 3 - プレミアム フォートブラッグリアパーツ 5 - - - - - - - - - - - 6 - - - - - - - - - - - 7 FB 1.2mm滑腔砲+CL 917 0(182) 0% 0% 5% 230 3 - フォートブラッグリアパーツ DLC一覧 通常武装(DLC) ランク 名称 ATK COST 火器 光学 クリティカル 攻撃回数 アビリティ 入手方法 装備神姫・備考 3 アトミック・ジャベリン 239 64 13% 0% 5% 3 - 未購入の場合はCPU専用武器 5 アトミック・ジャベリン+SK 611 116 21% 0% 5% 3 - 未購入の場合はCPU専用武器 ハフ・グーファ 639 134 19% 0% 5% 3 ダブルナイフ+1 マリーセレス専用RA『バッカルコーン+E83』に必要 7 ハフ・グーファ+VC 876 187 29% 0% 5% 3 ダブルナイフ+1 マリーセレス専用RA『バッカルコーン+E83EX』に必要 防具付属装備(DLC) ランク 名称 ATK COST 火器 光学 クリティカル 攻撃範囲 攻撃回数 アビリティ 入手方法 装備神姫・備考 6 SL オーフェンローア 820 0(122) 0% 0% 5% 3 防御力-3SP軽減+2 2wayスカート
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1671.html
と、いうわけで次の対戦のテーマは「接近戦も試してみよう」と相成りました。 今まで砲撃ばかりを狙い、接近戦は懐にもぐりこまれた際の迎撃程度しか行なっていなかったので若干不安は残りますが、何事も経験の積み重ねが肝要です。 そうと決まれば善は急げ。早速ターミナルへと、バトル登録に向かいます。 ……が。恥ずかしながら、ここですんなりとは行かないのが私たちで。 「ええと、カードをここに入れるんでしたよね?」 「マスターさん、惜しいですがカードの前後が逆です」 戸惑いつつ確認するマスターさんに、私はその胸元からお返事いたします。 「やや、これはうっかり」 そう言いつつ、カードを『裏返して』挿入しようとするマスターさんには、ある意味でお見事です。 カード投入の段階で手間取るワケですから、その後のタッチパネル画面操作などはさらに苦戦するわけで。 ああ、私たちの後ろに並んでいる方のイラついた目が心に刺さります。 正直なところ、私がやってしまえば早いのですが、これもまたマスターさんに操作を覚えていただくために必要なこと。 マスターさんとて、確かにかなりの機械オンチではありますが、それでも何度も練習すればできるようになるのです。実際、携帯やPCメールの扱いだって、そこそこはできるようになっているのです。 先ほども言いましたが、何事も経験の積み重ねが肝要なのです。 マスターさんも、やれば出来る子なのですっ! ですからこうして私はあえて助言に留めているのも、これもまた愛なのですっ! もちろん、いつも温和で何事もそつなくこなすイメージのマスターさんが慣れない操作に戸惑われる姿が愛らしく思えることとは一切無関係なのですっ! 「『対戦申し込み』で……条件設定は……ええと……これでしたっけ?」 「マスターさん、そこは違います」 「やや、これはうっかり。えーと、戻るには確か……」 「申し訳ありませんがそこも違います。戻るにはそちらでなくこちらで」 「やや、これはうっかり」 ああ、私たちの後ろに並んでいる方が舌打ちなどをされています。 「では今度こそ。『対戦申し込み』で……」 「ああマスターさん、今押されたアイコンが戻るためのものです」 そして無情にも排出される管理カード。 「やや、これはうっかり」 「仕方ありません。また最初からいきましょう」 「……どきな」 「はい?」 む? なにやら後ろに並んでいた方が、強引にマスターさんの前に身を割り込ませてきます。 そして排出されているマスターさんの管理カードを無造作に手に取ると、手馴れた動作で再投入、やはり手馴れた動作でターミナルを操作して行きます。 そして瞬く間に設定が終了し、排出されたカードを手に取ると、それを乱暴な仕草でマスターさんの胸に押し付けました。 「『VRバトル』『対戦申し込み』『ステージ:ランダム』『条件:ランダム』『対戦相手指名:なし』 ……これでいいだろ?」 「あ、はい、十分です」 「……ふん」 呆然としつつも、我に返ってカードを受け取るマスターさんでしたが、その方は一瞥しただけで 鼻を鳴らし背を向け、ご自身のカードを取り出しターミナルに向かいます。 ……といいますか、あまりの急展開にちょっと流されてしまいましたが、無礼ではないでしょうか。 せっかく私がマスターさんのまごまごされる姿を堪能……もとい、マスターさんにターミナル操作を練習して頂いていたところにっ。 「あの……」 マスターさんが、その方の背中にお声をかけています。 「なんだ?」 ……その方は、お返事こそされたものの見返りすらされません。やはり無礼です。 「ありがとうございました、代わりに操作していただきまして」 さすがはマスターさん。相手の態度は無礼でも、礼を言うべきはきちんと言う、ご立派な姿勢です。 さすがにその方も、操作の手を止めて肩越しにこちらを振り返りました。 改めてその方を見てみますと……年頃は二十歳をやや越したくらいでしょうか? ぼさぼさの髪にシンプルな革ジャンにGパンというラフな服装と、ターミナルの脇の置かれた立派な神姫キャリングケースをみるに、おそらく自由に使える時間の多い大学生さんあたりではないでしょうか。 ですが真っ当な大学生さんというには、三白眼とへの字に結んだ口元がやや不穏な雰囲気をかもし出しています。 「ターミナルの操作くらい、慣れろよ」 そしてお話の仕方も、失礼ながら丁寧とは言いがたいですね。 「いやはや、面目ない」 そんなお方を前にしても、マスターさんの態度は柔らかいまま。さすがです。 その三白眼の方は、ちらりとマスターさんの胸元……つまり私へと視線をうつしました。 な、なんでしょうか……? 「どノーマル装備のハウリンか……はん」 は、鼻で笑いましたよ?! 今この方、私を見て鼻で笑いました! なんと失敬な! 思わずムッとしてしまう私をよそに、その方はもう興味はない、とでも言いたげに再びターミナルへと向き直ります。しかもそれだけでなく、背中越しの捨て台詞まで吐かれるオマケ付きです 「そんな何にも出来ねぇ神姫でバトルに出たって、金と時間の無駄だぜ。 ウチ帰ってキャッキャウフフしてな」 な、何と言うことを……! いえ確かに実際連敗続きでマスターさんに言い訳のしようもないと思っておりますが、それにしても言い方と言うものがあるでしょうに! 憤然とそう口を開こうをした私……でしたが。 「ほほう……」 頭上より発せられた冷ややかな声に、思わず私はそちらを仰ぎ見ます。まっすぐに三白眼の方を見据えるマスターさんのお顔は私の位置からお窺いしづらいですが、いままでついぞ耳にした事のなかった冷たい声色は、しかし確かにマスターさんのお声でした。 「犬子さんが、何も出来ない武装神姫だと仰いましたか?」 その冷ややかな声に、さすがに三白眼の方もこちらに向き直りました。 「あ? なんか文句あるのか? まだ未勝利のクセによ?」 私たちの管理カード、しっかり見られていたようです。 「ええ、戦績が振るわないのは認めましょう。ですが、『何も出来ない』というのは取り消していただきます」 「へぇ……」 三白眼の方が、口元をゆがめます。獲物を目の前にした肉食獣を思わせる、獰猛な笑みです。 「そんな気はさらさらねぇ、っつったらどうすんだ?」 「取り消すと、認めさせます」 それに対して、萎縮することなくはっきりと言い切るマスターさん。 「おもしれぇ……この俺に勝負でも挑もうってのか?」 「そうすることであなたが、犬子さんが何も出来ないなどと言うことはないと認めてくれるというなら」 マスターさんは、きっぱりと即答されました。それを聞き、三白眼の方はますます笑みを獰猛なものにします。 「決まりだな」 「ええ。どちらの武装神姫が優れているか、証明してご覧に入れましょう」 ……そして私はといえば。 恥ずかしながら、いつも温和でいらっしゃる印象しかもっていなかったマスターさんの新たに見る果断さに、口を挟むことも出来ずに状況の推移を見守るばかりです。 と、三白眼の方のキャリングケースが、内側から開かれました。 「……なによアキ、またなんか揉めてるの? いい加減にしてよね、おちおち寝てらんないじゃない」 そう言いながらキャリングケースから身を起こしたのは、気だるげな雰囲気を纏わせたストラーフタイプでした。胸元に飾られた、バラと剣をあしらったエンブレムがオシャレです。 彼女は素体の状態ながら……その立ち振る舞いに、只者ならざる様子をうかがわせます。 なんと申しましょうか、動作の一つ一つが洗練されている……いえ違いますね、「動作の一つ一つ」ではなく、動作全体が非常に滑らかで人間的なのです。 それはつまり、どうしても動作の継ぎ目継ぎ目が不自然になるプリインストールされた身体制御プログラムではなく、自ら調整した身体制御プログラムを構築しているということです。 私も脚部パーツをGS ver1.13に換装させて頂き、そこから派生したモーションパターン全ての総調整を余儀なくされた事があるからこそそれがどれほど膨大な処理を必要とすることかを垣間見ることはできますが……脚部パーツからの派生のみならず全身の動作において、しかもあれだけの洗練された高度な身体制御を可能とできるようになるまでにどれほどの試行錯誤と経験の積み重ねがあったのか……想像するだけで戦慄を覚えます。 その一点だけを以ってしても、相手とするなら強敵になると言わざるをえません。 「まあそういうなよロゼ。俺たちに勝負を挑もうって言う勇気ある身の程知らずどもさ。 丁寧に遊んでやらねぇと罰が当たるってもんよ」 三白眼の方が、にやりと笑ってご自身の武装神姫に声をかけます。 ロゼ、というのがこの武装神姫の呼び名のようです。そういえば先ほどロゼさんが口にしていた「アキ」というのが、三白眼の方のお名前でしょうか。 「ふうん……この子がその相手? 見たところてんで素人っぽいけど」 余計なお世話です。と言いますかオーナーがオーナなら、神姫もまた随分と態度が尊大ですねっ。 それにしても位置的には貴女の方が低い場所にいるというのに、それでも私を見下す視線を取れるとは、なかなかに器用なお方です。 と、ロゼ(仮)さんはあからさまに肩をすくめ、首を振ります。 「ホントいい加減にしてよね……そうやってアキがバカみたいに噛み付いたケンカ、全部アタシにお鉢が回ってくるんだから」 「バカとは何だバカとは?! このバカ神姫が」 「なによー! バカって言う方がバカなんだからね!」 「その言葉、そっくりそのままノシつけて返す! ってーか今回は俺から売ったケンカじゃねぇ!」 「ふーん、今回『は』ね、今回『は』」 「う……」 「どうせそれだって、またアキが余計なこと言ったのが原因なんでしょ?」 「うう……!」 なにやら、類似の件は今までにもあったご様子。 アキ(仮)さん、口をしばらくパクパクさせておりました。反論の言葉を捜しているものと思われます。 結果、そのお口をついて出たのは。 「……メール管理もろくすっぽできねぇバカ神姫に言われる筋合いはねぇ!」 ……いえアキ(仮)さん、それは反論になっていません。と言いますか、明らかに逆切れです。 「何よ! そんな雑用なんて、電子秘書でもなんでも買ってやらせればいいでしょ?! アタシは武装神姫よ、ぶ!そ!う!神姫! だからバトル最優先に決まってるじゃない!」 いえロゼ(仮)さんも、その反論はさすがにどうかと。 と申しますか、もしかしてお二人とも私たちの事をお忘れではありませんか? お二人とも睨み合っておりまして、完全にお互いしか見えていないものとお見受けしますが。 「あのー……」 そんな私の思いを汲み取っていただけた……という訳でもないのでしょうが、マスターさんがおずおずとお二人に話しかけられました。 はたと、睨み合っていたお二人が同時にこちらを向かれました。 そのお顔は、如実に「私たちの存在を今思い出した」と語っておられます。 そしてアキ(仮)さんが、咳払いをひとつし、マスターさんへと向き直りました。 「勝負の方法はどうするんだ?」 あからさまに誤魔化し+照れ隠しです。 あ、ロゼ(仮)さんがキャリングケースに引っ込みました。 なんと申しますか、お二人の醸し出していた『未知の強敵』のイメージがわりと台無しです。 「僕のほうから提示する条件は一つ。三本勝負での決着を望みます」 そんなアキ(仮)さん達のご様子を見ていなかったかのように振舞うマスターさんは、やはりすばらしい方だと思うのです。 「別に三本だろうが十本だろうがかまわねぇけど……それなら勝てると踏んだってのか?」 「ご想像にお任せしますよ。一本目は譲ります。そちらのお好きに条件を設定してください」 「へぇ……大した自信じゃねぇか」 アキ(仮)さんは不敵にお笑いになりました。どうやら調子を取り戻されたようです。 「ええ、どんな条件にしろ、結果は変わりませんからね」 「……よく言った。後悔すんなよ?」 アキ(仮)さんが、再びにやりと獰猛な笑みを浮かべました。 「俺の名前は佐藤正昭(さとうまさあき)。こいつがローザリッタだ。大口叩くだけの歯ごたえを期待してるぜ?」 申し訳ありませんアキ(仮)さん改め佐藤さん、不敵な台詞もわりと手遅れ感が漂います。 「ま、せいぜい頑張りなさいな」 えーとロゼ(仮)さん改めローザリッタさん、キャリングケースの中からそう言われましても。 「……ですが正直、意外でした」 ここは休憩スペース。いつも私たちが対戦後の反省会を行なっている場所です。 もっとも今は反省会ではなく、単に飲み物を購入しに立ち寄っただけですが、何はともあれ佐藤さんたちと一時別れ私たちだけになったところで、私はかねてよりに疑問を口にしてみました。 「何がです?」 自動販売機にコインを投入しながら、マスターさんがお答えになります。 「マスターさんが、勝負を受けたこと……いえ、ご自身から勝負を挑んだことがです」 私の知っている限りのマスターさんには、相手が少々無礼な態度を取っても柔らかく受け流すような、そんなイメージを抱いていたものですから。 「僕のほうこそ、ちょっと意外ですねぇ」 自販機から出てきたペットボトルを二本拾い上げながら、マスターさんが少し不本意そうなお顔で仰いました。 「僕は、犬子さんのことを侮辱されて黙っているような、そんな人間と思われていたのですか?」 ………………………! 申し訳ない気持ちと、それをはるかに上回る感極まる気持ちが私の感情回路を乱し、ドッグテイルが暴走を開始します。 私のためにお怒りになってくださっていたとは……そんなことにも気付かなかった、自らの不明を恥じ入るばかりです。 「あー、いえ、そんな風に畏まらないでください。僕自身も熱くなっていてのことですし、改めてそんな風に言われると、こちらこそ恥ずかしいですから」 そう仰るマスターさんのお顔を伺えば、かすかに赤みがさしていらっしゃいます。そんなマスターさん のご様子は、先ほどの初めてお見かけした果断なるマスターさんでなく、私のよく知る温和なマスターさんでした。 そのことになんとなく根拠のない安心感を覚えた私は、次の話題を振ることにします。 「ところでマスターさん」 「なんでしょう犬子さん」 「先ほどの浜野さんのお話ですが、どうお考えですか?」 「そうですねぇ……」 実は私たちがこちらに来たのは、単に飲み物を買いに来ただけという訳ではありませんでして。 浜野さんが私たちのことを、佐藤さんに見つからないようにこっそりと手招きしお呼びになった、それに応えるための離席の口実でもあったのです。 『ちょっと揉めちゃったみたいだねー』 佐藤さんたちから見えない位置に誘われた私たちへ、浜野さんはいつものにこやかなお顔に若干の苦笑いを混ぜてお話くださいました。 なんでも佐藤さんはこちらのセンターでも指折りの実力者なのですが、バトルでの苛烈さや好戦的で尊大な態度、歯に衣着せぬ物言いであまり評判はよろしくないお方だとのことです。 とくに弱者や敗者にかける言葉などは、相手の至らない点を容赦なくビシバシと指摘する厳しいものばかりで、『そんな言い方をしなくても』ということが多いとか。 『でもさ、そんな悪い子でもないんだよ。丁寧に手入れされた神姫を見てればそれは分かるし。 ただちょっと熱くなりやすくて口が悪くて、思ったことをそのまま口にしちゃうだけなんじゃないかな』 それだけ揃えば十分問題人物と言う気もしないでもないですが、さておき今はさらにちょっと機嫌が悪いため、いつもよりも余計に荒れているとのことです。 『実は佐藤君、今まで通算29連勝しててね。それで今日は30連勝達成だって意気込んでて、店のほうでもこっそり記念品とか用意してたんだけど、そこで当たった相手が変わっててさー』 数値としては凡庸な勝率でしかないその対戦の相手は、その実よく見れば特定のステージ以外ではてんでからきし、されどそのステージであるならば常勝不敗と言う、極端な戦績を持つ規格外なお方だったとか。 そしてロゼさんが30連勝をかけてその相手と戦ったステージが、あろうことか先方がまさに無敗を誇る砂漠ステージだった、と。 油断をしていたわけでは決してなかったにせよ、ぱっとしない勝率を見てつい気が抜けてしまったのであろうその対戦の結果は、推して知るべし、です。 『うん、単に強敵に負けたってだけならまだ良かったんだろうけどね。 そんなピーキーな戦績の、しかもしっかり注意してそのあたりをちゃんと読み取っていれば少なくとも警戒は出来た対戦を、自分の不注意でコテンパンにされて念願の30連勝を逃したってのがかなりショックみたいでさー』 それは確かに、悔やんでも悔やみきれないことでしょう。 『要するに君たちは、その八つ当たりの矛先にたまたま当たっちゃったってことだね』 浜野さん、身も蓋もなさすぎです。 『まあ、これも縁だと思って、適当に気晴らしに付き合ってあげてくれるかな?』 浜野さんはそう締めくくって、お仕事へと戻られました。 以上、回想終了です。 「……正直なところ私は、あの方々が『悪い人ではない』と言われても賛同しかねますね」 マスターさんにも無礼な態度でしたし。鼻で笑われましたし。見下されましたし。 「うーん、まだ確証を持てるほど彼と関わったわけではありませんが……僕としては、やっぱり彼はそれほど悪い方とも思えませんね」 「思えませんか」 さすがマスターさん、人間が出来ていらっしゃる……と言いたいところですが、さすがに意外です。 「はい。なんだかんだと言いつつ、僕達のバトル登録を代わりにやってくれたじゃないですか」 それは言われて見れば確かに。態度はやや悪かったですが、困っているところを見かねて手を貸した、とも見えなくもないです。 「そして、そのあとの『何も出来ない武装神姫』の下りも……まぁ、あの時は僕も冷静ではいられなくて思わず反発してしまったわけですが、もしかしたら『能力の平均的なハウリンタイプは器用貧乏になりやすいから、なにか一芸を持つようにしないといけないよ』というアドバイスだったのかもしれませんし」 「それはさすがに、好意的過ぎる解釈かと」 「うーん、そう言われると弱いですねぇ」 マスターさん、少し困ったように苦笑いされながら、頭を掻いていらっしゃいます。 「ただまぁ、ああいう感じの方はいますからね。ご自身が優秀な分、周りの至らない部分がどうしても目に付いてしまって、それを黙っていられないような方が。 佐藤君も同じで、武装神姫に対して真摯であるからこそ、他の人の未熟な点が見過ごせないのかもしれません」 そういうものなのでしょうか? 「確証があるわけでもないんですけどね……まぁ、そのあたりは対戦しながら見極めていきましょう」 そしてマスターさん、口元に拳を当てて小さくクスッとお笑いになり。 「それでやっぱり性根のよろしくない方で、犬子さんを侮辱したのも悪意からのものだったと言うのであれば、その時は土下座して『もう勘弁してください』と言いたくなるまで叩き潰せばいいことですし。 くすくすくすくすくすくす」 「マスターさん、申し訳ないですけれどもその笑い方少し怖いです」 「やや、これは失敬」 どこかで聞いた覚えがあるような会話はともかくとして。 「マスターさんには、勝算がおありなのですね」 正直なところ、私があのローザリッタさん……ロゼさんに勝てるとは思えないのですが。 「ええ、佐藤君もうまい具合に、こちらの思惑に乗ってくれましたからね」 けれども、マスターさんがそう即答で断言されたならば、私に疑いようなどありません。 「でしたらマスターさん、私も微力を尽くします。ご采配よろしくお願いいたします」 深々。 「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」 深々。 「……ところで犬子さん」 「何でしょうマスターさん」 「先ほど佐藤君の仰ってた『キャッキャウフフ』というのは、どういう意味なのかご存知ですか?」 あー、口にしていましたねぇ。前後の文脈の方の気をとられてスルーしていましたが、確かに仰っていました。 「『キャッキャウフフ』というのは、『武装神姫と睦びあっている』状態を差す俗語表現で、古典コミックにおける男女間の睦びあう描写に際して使用された表現をなぞらえたものが語源といわれています」 「……色々な意味で、わりと微笑ましい台詞回しですね」 「ええ、わりと」 「……………………」 「……………………」 「やっぱり佐藤君、さほど悪いお方ではない様な気がするのですが」 「奇遇ですね。私も今しがた、ちょっとだけそんな気がしてきていた所です」 こうして、私たちの初の『対戦相手の顔を見据えての、指名対戦』の火蓋が切って落とされようとするのでした。 ……が。 「お待たせしました」 ペットボトルを片手に、マスターさんはにこやかにご挨拶なさいます。 「別に待ってねぇ」 対する佐藤さんは順番待ち用ベンチに膝を組んで腰掛け、その膝の上に立てた腕に顎を乗せて、そっぽを向いていらっしゃいます。 「んー、順番待ちの列はあんまり減ってませんねぇ」 「俺に話しかけるな」 「武装神姫の人気は、さすがと言うことですねぇ」 「だからどうした」 「この分だと、まだまだ待ちそうですねぇ」 「見りゃ分かるだろ」 「実は前から疑問に思ってたんですよ。ほらゲームなどを題材にした少年漫画とかにある、主人公とライバルが対戦することになるシーン」 「唐突だなおい」 「大抵そういうのは人気のゲームとかを扱ってるんですが、それにしては都合よく二人分の機械があいてるなぁって。そう思ったことありません?」 「ねぇ」 「やっぱり現実にはそうそううまく行きませんよねぇ。漫画だと冗長にならないように その辺は省いてるんでしょう」 「俺が知るか」 「……聞きましたか犬子さん。この打てば響くようなシンプルでそれでいて的確なツッコミっぷり」 「はい。私たちにはなかったスキルですね」 「何がスキルだ何が」 「……いやはや本当に、いちいち反応を返してもらって、ありがたい限りです」 「お見事な律儀なツッコミっぷり、頭が下がります」 「ホントに下げるな」 「あ、よかったらこれ飲みません? まだ時間ありそうですし」 「いらん」 「まぁそう言わずに。二本あっても一人じゃ飲みきれませんし」 「……ちっ、仕方ねぇな。よこせ」 「はいどうぞ。お茶でよかったですか?」 「なんでもいい。……ありがとよ」 「聞きましたか犬子さん」 「聞きましたよマスターさん」 「なんか文句あんのかこら?! 物もらったら礼くらい誰だって言うだろうが?!」 「文句なんてとんでもない。むしろそれを当然と言い切れる誠実さに、感銘を受けているところですよ」 「私、先ほどのお話を信じてもいいような気がしてきました」 「何の話だ何の?!」 「……ちょっとぉ、なに騒いでんのよアキー? うるさくて眠れないじゃない」 「あ、これはお騒がせしました。まだ順番は回ってこないようですから、ごゆっくりお休みください」 「申し訳ありません、すぐに静かにしていただきますから」 「俺か?! 俺が悪いんか?!」 とまぁ、こんな風に。 カッコよく宣戦布告した相手とのんびり順番待ちをしなければならない情況がいたくご立腹であるらしい佐藤さんと、そんなことはお構いなしに物怖じせずいたって友好的に話しかける私たちの対戦の火蓋が実際に切って落とされたのは、それから10分後のことでした。 <その13> <その15> <目次>